男性のスーツのジャケットには、ダーツと呼ばれる意匠が施してあります。
ダーツとは、スーツ用語で「つまみ縫い」を意味します。
フロントダーツとはジャケット前面の両側にある縦方向の縫い目のことを言うのですが、これにはウエストのラインを調節する役割があります。
ウエストラインの調節は、スーツのシルエットに関わる重要な部分です。
ただパーツを縫い合わせるだけでなく、体の形にあわせた立体的、構造的なフォルムに仕上げるために、このダーツを入れる作業は、欠かせない工程になります。
これによって腰回りを絞ることで、着心地がよくなるのはもちろんのこと、見た目にも美しいジャケットに仕上がります。
エディ・スリマンによるディオールオムのスリムなスタイルの人気にともない、2001年頃から現在にいたるまで、男性の服装においてもスリムなシルエットが流行し続けています。
ジャケットのフォルムもこのようにして整えることでファッションと呼ぶにふさわしい、旬な雰囲気にできあがります。
フロントダーツは、スーツの美しさを保つためには欠かせないものなのです。